たくさんある「10月の異称」とは
いよいよ10月になりました。
何をするにも最適な、秋本番の季節を迎えました。
そんな10月の代表的な和風月名は「神無月(かんなづき)」です。
では、神無月と呼ぶようになった由来は何でしょう?
10月は、日本中の神々が縁結びの相談をするために、出雲大社に集まる月と考えられてきました。
そこで、各地に神様がいなくなる月、つまり「神無月(かみなしづき)」が「かんなづき」になったと言われています。
逆に、出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ばれています。
神無月のほかにも、10月の異称はたくさんあります。
その中のいくつかをご紹介しましょう。
【開冬】(かいとう)
「開冬」は、冬の初めという意味です。
旧暦では10月から冬が始まるので、旧暦10月の異称としても用いられるようになりました。
他に、冬の初めのことを「初冬」「新冬(しんとう)」などともいいます。
いずれも旧暦10月の異称として使われますが、開冬というと、いよいよ冬の幕が開くようですね。
【時雨月】(しぐれづき)
時雨は、晩秋から初冬にかけて、降ったりやんだりする通り雨のことです。
ただ、平安時代頃からは、冬の風物とされるようになりました。
旧暦10月は、時雨が降る月ということで、「時雨月」という異称でも呼ばれます。
和歌では、時雨に人生や心の移ろいを重ねて詠われてきました。
【木の葉月】(このはづき)
旧暦10月は、木枯らしが吹く季節でもあります。
「木枯らし」は、字の通り、木を枯らすように吹く強い北風のことです。
木々は、風にあおられ、次々と葉を落としていきます。
いわば、この時期は落ち葉の季節。北風が木の葉を散らしていく月ということで、「木の葉月」という異称もつきました。
【初霜月】(はつしもづき)
「初霜月」も、旧暦10月の異称です。
江戸時代は、霜が降り始めるこの時期のことを、「霜先(しもさき)」ともいいました。
これから寒さが本格化する上に、年末の準備などで忙しくなる時期です。
そこで、「霜先の薬食い」といって、この時期のうちに栄養のあるものを食べて、体力をつけたそうです。
【小春】(こはる)
初冬の頃の、春のような穏やかな日は、「小春」と呼ばれてきました。
これが、そのまま旧暦10月の異称にもなっています。また「小春月」ともいいます。
【陽月】(ようげつ)
中国から伝わった「陰陽説」では、5月から陰が芽生え始め、10月には陰がきわまり、11月から再び陽が芽生えるとされます。
そうすると、10月はあまりに陰ばかりで不吉なので、「陽月」と呼ぶようになった…らしいです。
でも、陽月の「陽」は、太陽の「陽」だと思えるほど、この時期は、やさしい光を注いでくれます。
【良月】(りょうげつ)
古代、10は、満ち足りた数であるとされました。それで、10月は「良月」と呼ぶのだそうです。
そんな理由で? と思ってしまいますが、実際、10月は良い月だったのでしょう。
収穫を終え、まだ寒さも厳しくはありません。
良い月という意味では、現在の10月にも当てはまるのではないでしょうか。
10月は、空は高く澄み渡り、さわやかな風が吹き、食べ物もおいしい季節です。
存分に楽しんで、みなさんにとっても、充実した良い月になるといいですね。